生前贈与とは被相続人が死亡する前に相続人等に財産を渡すことをいいます。
多くの場合、相続税を少しでも軽くすることを目的として、生前贈与をご検討されますが、生前贈与をする場合には、相続税よりも税率の高い贈与税がかかってきますので、注意が必要です。
生前に贈与を検討する場合は、以下の贈与分岐点を目安に、無駄な税金がかからないような贈与を検討します。
この贈与分岐点以下の範囲で財産を贈与した場合には、贈与した方が全体としての税金の負担を抑えることができます。
また、将来相続税評価額が高くなると思われる財産について、評価額が低いうちに贈与することで、全体としての税金の負担を抑えられるということが考えられます。
贈与には、様々な特例がありますので、相続に強い専門家と相談しながら、上手に進めていくのがよいでしょう。
生前贈与の方法
生前贈与は、年間110万円以下の場合には課税されませんし、申告が不要です。
ですので、生前贈与を活用した節税対策としては、110万円の基礎控除を最大限利用したいところです。
また、配偶者控除を利用する方法があります。
こちらは、婚姻期間が20年以上であり、居住用不動産または、居住用不動産を取得するための金銭の贈与であることが条件となります。
さらに、贈与してから3年以内に相続が発生すると、相続税の計算上、その贈与財産は相続財産に加える必要があります。
しかしながら、この贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合は、3年以内に相続が発生した場合であっても贈与財産を相続財産に加える必要がありません。
また、相続財産をご夫婦で分散することができる(すなわち、お父様、お母様の2回に分けてお子様に相続させることになる)ので、相続税の基礎控除が2回使えたり、低い相続税率が適用されたりと、相続税の節税につながる場合もあります。
ただし、生前贈与の際の注意しなければいけない点もあります。
1. 贈与税と相続税の節税額の分岐点を確認しておくこと
2. 遺産分割のトラブルとならないように注意すること
3. 贈与契約書を作成し公証役場で確定日付を取るなど贈与の事実を記録として残しておくこと
4. 相続開始前3年以内の相続人に対する贈与は相続財産として加算されることを確認すること
以上の4点に気をつけて生前贈与を進めていきましょう。
生前贈与は計画的に
贈与後3年以内に相続が発生すると、その贈与財産は、相続財産に含まれることとなるため、相続税が課せられます。
したがって、相続の開始が近いからという理由で、直前に贈与をして相続税を減らそうとしても、3年以内に相続が発生した場合は、相続税が課せられてしまいますので注意が必要です。
